風の詩ーー君に届け

何故……目に映る緒方の笑顔に体が固まる。



「あんなふうに声をあげて泣けるんだなって。

『ローレライ』って言われたことに、あれほど感情を露にできるんだなって」



「緒……方!?」



「自分に『ローレライ』なんて言った人を心配して、電車に乗り会いに行くほど熱い感情があるんだなって」



「人のことを……鉄面皮でも被っているように言うんだな」



「あら、違うの?」



「自覚はないな……」



「えっ、ないの?」



「笑えない、泣けない……時期が長かったんだ。

高2で転校してきた時が、絶不調だった……」



「防人の歌だったかしら」


「……鯨魚取り海や死にする
山や死にする死ぬれこそ
海は潮干て山は枯れすれ」