風の詩ーー君に届け

「緒方……」


昨日の様子も動画投稿されていると聞き、もしまた撮られていたなら、緒方を巻き込むことになる。


そう思うと、体が自然に動いた。


立ち上がり、緒方の手首を掴み急ぎ車両を移動する。


車両の扉を締め、次の停車駅で開く扉側に寄り、緒方の顔が隠れるように立つ。



「君は……大胆すぎる。

車内であんな……」


緒方に小声で言いかけ、あんなの先を思い出し頬が火照り言葉に詰まる。



「予定はあるのか? 誰かと待ち合わせとか……」




安坂さんの顔が浮かんだ。


「美術館に行こうと思ってたの」



「目当ての画家でも?」



「猫の写真展」



「ネコ……家にもネコがいて母にしか、なつかない。

餌の時間にだけ擦り寄ってくる」