Nフィルと契約して以来、風当たりが強いのは、このヴァイオリンの音色も関係しているのだろう。


それは感じていたし、自分の演奏が他とは違うことも、自分なりに気付いてはいる。



が、面と向かい「ローレライ」と言われるたび、その名の響きは杭を打ち込まれるように重く、胸に食い込んでいく気がする。



クラシック関係者に言われるのは、まだ説明や批評がある分、納得もする。



が、素人の口から「ローレライ」の名を聞くとは思わなかった。



胸に突き刺さり食い込んでいく杭が、いっきに心臓へまで到達した――そんな衝撃。




Nフィルで、やっと一体感を感じただけに尚更、「ローレライ」という名は胸を抉った。