風の詩ーー君に届け

詩月と理久の様子を傍観する者。

携帯電話やスマートフォンを開き2人の様子を録る者。

避難するようにヒソヒソと話す者、興味津々とざわめく乗客達。



理久は詩月を好奇の目から守るように抱きかかえ、次の停車駅で電車を降りた。


詩月を支えながら停車駅のベンチに座る。


詩月の被ったキャップを、さらに目深く被せた時、詩月のスマホがバイブした。



詩月は怯えたような瞳をし、上着の中でバイブしたスマホを手で押さえる。



理久はハッとし、詩月のスマホを上着から抜き取り、電話に出た。



――もしもし



――あ!!……あの、し、詩月さんのスマホですか?



――そうだけど、誰?



――えっと……Xceon(エクシオン)の



――Xceon(エクシオン)、アイドルが詩月に何の用だ?