風の詩ーー君に届け

「コンサートが決まった後から、これを練習していて当日に演奏することになっているの。

吹奏楽だけの演奏をする予定だったから、ヴァイオリンパートの楽譜は記入されていないわ」



マネージャーは詩月に楽譜を手渡しながら言う。




「素人の演奏だからアレンジも何もない、正調演奏の『Jupiter』よ。

コンサートの中盤に演奏するの」



詩月は楽譜を受け取り、小さく頷く。



「ヴァイオリンをどう弾くかは、あなたに任せるわ」


詩月はマネージャーの目をまともに見ることができない。



切れ長の二重をした険しい顔は、春CMから見ているマネージャーの様子とは酷く違っている。



詩月は彼女に気さくで軟らかな感じの、何でも気軽に話せるお姉さんタイプだという印象を持っている。