風の詩ーー君に届け

「鈍いな、郁」



安坂はカップを置き、思い切り気持ちを込めて言う。



「えっ!?」



郁子は珈琲にミルクを入れようとした手を止める。




「周桜は郁には、話したくないんだ。

郁から、あれこれ言われたくはないんだ。

もし、郁が周桜だったら同じように思うんじゃないか?」



「わたしが周桜くんだったらって……」


郁子はおうむ返しに言い、首を捻る。


「だ·か·ら……」



「貢、止めておけ」



安坂の上から声が降る。



「そう言うことは自分で考えさせろ、代弁なんかするな」



荒々しく理久が席に座る。


いつ、モルダウに入ってきたのか?
いつから、話を聞いていたのか?


安坂も郁子も気づかなかった。