風の詩ーー君に届け

何も語らなければ尚、面白可笑しく、幾らも語られる。


母だけではなく、父、そして治療で長年お世話になっている主治医、様々な人にまで迷惑もかかる。



講義の間も、学生達の好奇と批判的な視線、内緒声を肌に感じながら過ごした。


何回アクセスし、再生されても構わない。



詩月は、そう思い始める。




講義を終え学舎を出ると、詩月は郁子と安坂に、喫茶店モルダウへ誘われた。




「あなた、わかってるの? 自分が今、どんな立場なのか」



郁子が席に着くなり、険しく声を張り上げた。




詩月は偶然、誘われたのではないなと悟る。




「あのCMもだけど、あなた今、若手演奏家として至るところから注目を浴びているのよ。

音楽専門誌が、あなたをどれだけ評価しているか知ってる?」