風の詩ーー君に届け

「後ろ向きになって銀貨を投げて、女神像のヴァイオリンのf字孔の中に入れるんです」



詩月は女神像の弾くヴァイオリンのf字孔を見上げる。


「あんな所に!?」



「はい。でも……なかなか入らなくて」



「へぇ~……銀貨、貸して」



「えっ!?」



女子学生は掌に握りしめた銀貨を恐々と、詩月の差し出した掌に乗せ、固まったように立ち尽くす。



女神像のヴァイオリン正面に移動し、詩月はくるり背を向けた。



銀貨を親指と人差し指で軽く挟み、捻りを掛け強く弾く。



舞い上がった銀貨は、放物線を描いて女神像の弾くヴァイオリンのf字孔に吸い込まれた。



「ウソーッ!? 入ったの!!」



「信じられない。1発で!?」