風の詩ーー君に届け

この音色……。

圧倒的なのに、何故こうも合わせ易いの?


妹尾はオケで弾いている時には、気づかなかった詩月の音色に戸惑う。




この子……わたしのヴァイオリンを引き立ててる?

わたしの弾き方の癖まで把握している……。



妹尾が目を見開き、詩月を見据える。



指盤を叩く、妹尾の指がぶれる。



その僅かなミスさえも見逃さずに支える詩月の音。




何て技量なの!?



「余計なことをしないで」


妹尾が演奏を中断する。



「あのさ、デュエットなんだけど」



「はあ!?……」



「二重奏だよ。

主張しあってどうするのさ。

協調しあわなきゃ、二重奏にならないだろ!?」



「あなた……ふざけてるの?」



「本気だけど……あのさ。

そんな悲痛な顔して曲を奏でて、楽しい!?」