風の詩ーー君に届け

詩月の深く碧みががった瞳が、真っ直ぐ妹尾に向けられている。



「ローレライ、上等だ。

ローレライにだって、心はある。

伝えたい思いがある」


妹尾の肩がわなわなと震える。



唇を噛みしめ、詩月を睨むように見つめている。



凍てついた空気を破るように、詩月は穏やかに笑顔を作る。



「妹尾さん、思いを音に託して思い切り語りませんか?」



「えっ!?」



何を言い出すの!? と言いたげな妹尾に、詩月は続ける。



「あなたの本当の音が聴きたい。

あなたの本当の演奏が聴きたい」



「わたしはあなたなんか、大嫌いよ」


「わかっています。

だから、その思いを全力で弾いてください。

差しで弾いてみませんか?」


妹尾はヴァイオリンケースを握りしめる。