風の詩ーー君に届け

調弦を始めた詩月に、足を止め、通行人が振り向いていく。



「あっ」



声を上げ立ち止まり、スクリーンの映像と詩月を見比べる者もいる。



調弦を終え、颯爽とヴァイオリンを弾き始める詩月を。



奏でるのは、スクリーンから流れるアレンジされた「Jupiter」ではなく、正調「Jupiter」。



スクリーンから軽快に流れる「Jupiter」と詩月の弾く「Jupiter」がハモる。



「何、これ!?」



ありったけの想いを込めて曲を奏でる。



あんな記事など、吹き消してやる。



誰にも何も言わせない。



母の夢は僕が引き継いだ。



「あいつ、詩月とかいうヴァイオリニストか?」



「何でこんな所で弾いているの?」