風の詩ーー君に届け

ざわついた店内の様子から、何かを察したように理久が「アイツも記事を見たんだな」と、郁子に確認する。



「ええ」



「知らない奴から知らされたり、電車の中吊りで知るより、ずっといいよ」



「……そうなのかな」



郁子の瞳から大粒の涙が零れ、頬を伝った。




「郁、大丈夫だ。周桜はわかってるさ」



安坂が郁子の手にそっと、ハンカチを握らせる。




「わたし……彼のお母さんから聞いてたの。

この間、病院に行った時……彼がペースメーカーをって話。

……お母さん、凄く辛そうだった」



涙を押さえ嗚咽しながら、郁子が話す。




「アイツはお前には知られたくなかったんだ」



理久が週刊誌を閉じながら、ポツリ言う。