風の詩ーー君に届け

郁子は詩月が、手術をした話を理久から聞いたが、詩月本人の口からは検査入院だとしか聞いていない。



「手術をしたと言っても、まだ……。

ずっとね、薬を調整しながら様子をみていたの。

春の検査の時にわかったんだけど……。

あの子の脈拍……モニターを見たとおり。

速すぎたり、弱すぎて振れなかったり、遅すぎたり……薬だけではもう……」





誰かに話さなければ、正常を保てないほど、辛かったに違いない。



郁子は広げたページを読み返しながら、思う。




周桜くんは愚痴1つ、溢さなかった……。


郁子は涙が零れそうになるのを 懸命に堪える。




「堪らないよな。こんなこと暴露されて」



「たぶん、Nフィルの奴らも見てるんだろうな」




扉の風鈴の音が、忙しく鳴り安坂と理久がモルダウに入ってきた。