雪ノ空【完】


少し走ったところで立ち止まった。

「追いかけて……くれないんだね」

期待させといて…さ。

ドクン…

「あっ……はっ………!!!」

胸が……っ!!!

走ったのがいけなかったかな……。

やばい………倒れる……!!

そう思ってバランスを崩して後ろへ…。

あれ、痛くない。

「あっぶな!もう、遠くに行くなよな!」

そういっていつもの笑顔で笑うトラ。

「ほんと、ヒーローみたいだな…」

「あんがとよ!ほら、背中に乗れ!心臓、辛いだろ?」

いつもなら絶対断るけど

今の自分じゃ歩ける自信がないため、

トラに甘えることにした。

「ごめんな、トラ…」

「いーや?よっと、あれ軽いな。ちゃんと飯食えよー?」

そういっていつものように歩く。

「トラ、俺………頑張るから」

「……お前だけじゃない。俺と雪で頑張るんだ!んなっ!」

「…………うん」