雪ノ空【完】



すっごいおいしい!

ほんと、来てよかった。

「なあ、トラ!」

トラに話しかけようとしたその時だった。

「何してんだ」

「桐咲こそ、ここで何してんの?」

恋夜が俺の前に現れた。

「えーっと…伊野さんと来たなら伊野さんのとこ行ってあげな?」

「……………ちょっと来い」

そういって俺の手を引いて店を出た。

しばらく歩いても止まる気配がない。

「恋夜!?どしたの!?」

「………………」

そういうと更に歩くペースを早くする。

やばい……っ…心臓がっ………!!!

「ちょ……待って…お……ねが……い…っ!!」

俺は我慢できなくて、恋夜の手を振りほどいて

地面に座り込んだ。

「ハァハァ…ハァハァ……ハッ…」

心臓が………くそ痛い。

恋夜にだけは…気づかれたくない…!!