「待たせちゃってごめんね?急患が来ちゃって。でも、もう翔太くんにパスしてきたから」
日曜日の事があったせいか、大橋先生の姿を見ただけでドキドキした。
「診察室に入ろうか。純、ちゃんと仕事して」
「はいー」
この2人のやり取り、緩いな。
「今日も根っこの治療の続きねー。後何回くらいで終わるかなぁ……」
診察室に入って、私の前を歩く先生はほんわかした口調で呟いた。
あ、あれれ?
「はい、ここに座って」
「……はい」
先生、いつも通りじゃない?
変に意識してるのって私だけ?
日曜日の事、先生は何とも思ってないの?
(なんか、それって……)
自意識過剰みたいで恥ずかしい。
「……あやちゃん」
「……!」
急に耳元で呟かれて、ビクッと微かに跳ねる体。
診察台の前で佇む私のすぐ後ろに、いつの間にか立ってる大橋先生。
「日曜日は、楽しかったね」
「…はいっ!とても」
よかった。忘れられちゃったわけじゃないんだ。
「また今度は、一緒にご飯でも食べに行こうね」
「えっ……!」
それって……。

