学校を出て、しばらく歩いて、医院に到着。
「こんにちはー!」
中に入ると、
「あっ!いらっしゃーい!」
大きく手を振って出迎えてくれた櫻田先生。
保険証を出して、ソファーに座った。
診察室からは、けたたましい機械音がした。
聞いてるだけで痛々しい。
ギュッと膝の上で手を握りしめてると、櫻田先生のクスクス笑う声が聞こえた。
「怖い?」
少し馬鹿にしてるみたいに言われた。
「怖いですよ」
刺々しく答えた。
「だよね~。俺も怖い。この音マジダメっ!何回聞いても慣れないよ……」
櫻田先生の口から飛び出したのは、歯医者さんらしくない言葉。
「櫻田先生って、チャラそうに見えるけど、本当は1番、患者さんの事を理解してるんですよね?」
「えっ。な、なんでその事知ってんの?」
慌てふためく櫻田先生が、おかしくて、つい笑った。
「まさか、智也から聞いた?日曜、密会したんでしょ?」
なんで日曜日の事知ってるの!?
「智也から聞いたんだよ!日曜日にあやちゃんとお茶に行くって。しかもさ、これまたかなり」
真剣になって、櫻田先生の話に耳を傾けてると。
「あやちゃん」
診察室のドアが開いて、呑気な声が聞こえてきた。

