そんなこんなで、そのまた次の日。
今日は治療に行く日。
教室から出た時、「あや」と聞きなれた声で名前を呼ばれた。
「あ、日向くん」
私を呼んだのは日向くんみたい。
「俺、今日、部活休みなんだ。一緒に帰らない?」
「えっ」
「昨日、教科書貸してくれたお礼になんか奢るから」
なんでこういう日に限って誘ってくるんだろう?
「ごめんね。今日はちょっと」
悪いな、とは思うけど。
「俺、せっかく部活休みなのに……」
日向くんはバスケ部。
部活が休みなんて事は珍しいから、一緒に帰る機会は滅多にない。
「本当に、ごめんね?また今度」
私がいくらそう言っても、日向くんは不満顔。
「てゆーかさ、あや。俺さ……」
日向くんは何かを言いかけた。
「……やっぱ、何でもないや」
言いかけてやめた。1番モヤモヤするパターンだ。
「じゃあ俺、友達と帰るよ」
「うん。本当にごめん。またねっ!」
何を言いかけたのか気になったけど、気にしない事にした。

