「ちょっとあやちゃんっ!」
日向くんがいなくなった途端、琉璃ちゃんが私の肩を叩いた。
「村上くんってさ、絶対気があるよっ!あやちゃんにっ!」
琉璃ちゃんは、やや興奮気味のご様子。
「いや、それはないと思うけど……」
「えー、なんで?」
「幼馴染だもん」
日向くんをそういう対象で見た事は一度もない。
大好きな友達、としか思ってない。きっと日向くんもそうだと思う。
「絶対気があるよっ!だって村上くん、あやちゃんに悪い害虫が付かないように守ってる気がするし」
悪い害虫って……。
「あやちゃん、可愛いから、モテるんだよ?」
「……嘘」
「嘘じゃないよ!特に2年とか3年の先輩の間では評判らしいよ」
なんか複雑。
全然知らない人達の間で評判になっても、嬉しくない。
それに私は、モテ期とかどうでもいい。
大橋先生が、私を好きになってくれたら、それでいい。
そんな夢みたいな話……あるわけないけどね……。
「漫画みたいな事って、なかなか起きないよね」
「……どしたの?急に」
もし漫画みたいに恋が上手くいったら、世の中はリア充だらけだよ。

