先生、甘い診察してください




イマイチよくわからない理由に、首を傾げた。



「うちね、歯医者だから。父さんも母さんも歯科医だから、それで…なんとなーく」



ある意味この人らしい理由かもしれない。





「実は純とは、幼馴染なの。純はね、小さい頃からうちの実家の歯医者によく通ってたの」

「な、なるほど……」

「純はさ~、毎回毎回泣き喚いて、治療が終わった後も泣きっぱなし」


あのチャラチャラした櫻田先生がねぇ。意外だな。



「僕はいつも父さんに頼まれて、治療が終わっても泣き喚く純をよく宥めてたの」

「へー」

「それで仲良くなったんだ。あ、考えてみたら純とはもう20年くらいの付き合いかも」


20年っ!それは長い。



「ちなみに翔太くんとは、純の紹介で知り合って、それで仲良くなったんだ」


先生の優しい表情を見て、本当にお兄ちゃんや櫻田先生の事が大好きなんだって伝わってきた。



「あやちゃん、純の事、ただのチャラチャラした人って思ってるでしょ?」

「へっ?ま、まぁ……」


図星だけに、否定できない。



「確かにあいつはチャラい。医者とは思えないくらい」

「茶髪だし、ピアスしてますもんね……」



よく女の子の患者さんをナンパとかしてそう……。