「あーやちゃん」
「ひゃっ!!」
ほっぺにヒヤッとした物が当てられた。
「イチゴミルク、あげる」
「ど、どうも……」
手渡されたのは、紙パックのイチゴミルク。
「まぁ、僕はさ、あやちゃんの口の中、見ちゃったじゃん?」
「は、はぁ……」
「だからあやちゃんも、これくらい見てもいいでしょ」
いいのかな?
先生は結局、Tシャツを着ないまま、上半身を露出したまま、私の隣に座った。
私はドキドキしてるのに。先生は、平気なの?
意識してるのは、私だけ……?
「……先生」
「ん?」
「先生って、なんで歯医者さんになったんですか?」
前から気になってた事を、聞いてみた。
大橋先生なら、モデルとか俳優とかにもなれる気がする。
それなりのルックスなんだもん。
「理由、はねぇ……」
先生は唇に人差し指を当てて、少し考えるような仕草をした後、
「成り行き、かなぁ」
ポツリと、そう呟いた。

