最初から、わかりきってる事なのに……。
「……あやちゃん?」
苦しい。
さっきまでのドキドキはいつの間にかなくなってた。
今は苦しい気持ちだけが、心を支配していた。
「……私、今日は帰りますね」
「えっ…、もう少し……」
「いえ、帰りますっ……!」
走ってお店を出ようとすると、
「あやちゃんっ!」
腕を掴まれた。
「……もう少しだけ、お話しよ。場所変えようか」
先生は私の腕をしっかり掴んだまま、ポケットからお金を取り出して素早くお会計を済ませた。
お店を出ても、腕は掴まれたまま。
「公園でも行こうか。確か、この近くにあったから」
腕を引かれ、大人しくついて行くしかなかった。
しばらく歩いてると、ポツポツと水滴が落ちてきたと思ったら……。
―ザァァァ
急に雨が降ってきた。天気予報では、晴れだったのに。
「あやちゃんっ!これ被って!」
「えっ!」
先生は着ていたパーカーを脱いで、私の頭に被せた。これで濡れるのを防げって事?
「ちょっと走るから、転ばないようについて来てね!」
「え、えぇー!!」
またまた腕を引っ張られて、私は言われるがままに、転ばないように走るしかなかった。

