先生、甘い診察してください




「根っこの治療はもう少ししたら完了するかなぁ」


すっかり忘れてた。


治療は一生続くわけじゃない。いつか必ず治る時がくる。



大橋先生が好きって自覚して、結構経つのに何も進展してないよね?

医者と患者って関係のままだよね?



治療の後に他愛もない世間話をして少しは交流が深まりつつあるかもしれないけど…。



「あやちゃん、今日の治療は…」

「……」


もっと仲良くなりたい。どうやったらなれる?


どうやったらもっと近づける?




「…先生、治療…、後何回くらいですか?」

「え、えっとー……」


再びカルテを手に取って、眉を八の字に下げてカルテと睨めっこ。



「明確な回数は…、ちょっとわからないけど、まだ通ってもらわないとダメだなぁ」


それを聞いて安心した。



「ここに来るの…嫌?」

「いえ。むしろ、楽しいですよ」

「えぇっ!楽しいの?」


ただでさえ大きな目を見開いて、先生はビックリしてた。



「だって…、先生と呑気におしゃべりするの…、楽しいから」


あ、ちょっと大胆な事言っちゃった?ストレート過ぎた?




「本当?嬉しいなぁ。僕も、あやちゃんとお話するの、すっごく楽しいよ!」


ストレートに言ってよかった。