「それより、日向くんはどうなの?」
咄嗟に話を変えた。
19歳も年上の人を好きになったって、知られたらヤバそう。
「何が?」
「モテるみたいだけど、好きな人とかいないの?」
私の質問に、日向くんはテレッとしながら笑った。
「俺はさー、大勢の人にモテるより、特定の人にだけモテたらそれでいいの!」
「な、何それ…」
よくわかんない理論。でも妙に説得力もあった。
一緒に帰るのが久々という事もあり、それからは他愛もない話で盛り上がった。
やっぱり同い年の方が話は合う。ジェネレーションギャップを感じる事も、もちろんない…。
「あれ、あやちゃん?」
「えっ…!」
突然、後ろから聞き慣れた声が。この穏やかな声の正体は……。
「大橋先生っ!」
「やっぱりあやちゃんだ~。今、帰りなの?」
振り向くと、そこには白衣姿でコンビニの袋を持った先生が。
「は、はい…。そうです…」
さり気なく日向くんと距離を置いた。
「僕は、買出しの帰り。純にパシリされちゃってさー」
「そ、そうですか…」
「ところで……僕、邪魔しちゃったかな?」
大橋先生の視線は、私じゃなくて日向くんの方に向けられてた。
「ちっ、違います!!全然そんな事はっ…」
誤解だけは避けたい。

