「あやちゃーん、できたよ」 プリントが終わった時、タイミングよく声がかかった。 「おっ、プリントできたの?」 「はい。なんとか……」 「後で採点するから。とりあえずご飯にしよー」 はい、と返事をして立ち上がって、歩き出した時、 「わわっ……!!」 うっかり躓いて、その場に倒れそうに……。 「おっと、危ない」 間一髪、智也さんが両手で私の体を支え、転倒を免れた。 「大丈夫?」 「は、はい……」 今の、王子様みたいだった。 「…あやちゃん……」 名前を囁かれ、ふと気づいた。