手を引かれて、診察室に。
「おーい、純!印象材の用意よろしくー」
「はいはーい」
櫻田先生は受付で漫画を読んでたご様子。
ちゃんと仕事してるのかな?
「まずはレントゲン撮らせてね」
「はーい」
レントゲンが撮られて、診察台へ誘導された。
横のトレイには見覚えのない、ピンク色の粘土みたいな塊が。
「よし、膿の袋は消えてる。綺麗に殺菌できてるね。そんじゃ今日は型を取りま~す」
診察台が倒され、智也さんはトレイの上のピンク色の塊を手に取った。
「智也さん…それ……」
「これは印象材っていって、歯型を取るものだよ。ガムみたいな感じかな。ほら、あーん」
口を開いた途端、印象材が口の中の奥へ。
「っ……」
こ、これは……。
「ゆーっくり息して~。なるべく動かないでね~」
感触はガムみたい…。
強いミントの香りがする。

