休憩室に案内されて、温かいココアを入れてくれた。
「落ち着いた?」
「…はい。すみません。迷惑かけて」
「いいのいいの。どうせ暇してたから」
いっつもチャラくて、強引な櫻田先生だけど……、
「意外と優しいんですね……」
「まぁね~。俺、すっごい優しい好青年だから」
ツッコミどころがわからなくて、スルーした。
「私…今、頭の中が混乱してます…」
「だろうね」
あんな現場、目の当たりにしたら…さすがにショックだよ。
「あの子…陽菜ちゃんって…」
「……森口陽菜ちゃん。高校3年の18歳。智也には、12歳の頃からの付き合い」
私より2つ年上。
しかも…智也さんとの付き合いも、長い。
「あの子は元々、重度の歯科恐怖症なんだよ。小さい頃、無理矢理押さえつけられて治療されたのがトラウマになってるみたいで」
無理矢理って…酷い…。
「最初は歯医者に来るだけで過呼吸起こしたり、大変だったらしいけど、今はだいぶ克服できたみたい。智也のおかげでね」

