「小さい頃、大きくなったら…結婚しようって言ってくれた」
あ、そういえば…。
『ひなたくん!おおきくなったらけっこんしようね!』
……幼稚園の頃、言ったような記憶が微かに。
でも小さい頃のそんな約束、もう…さすがに無効なんじゃ…。
「だから俺、その約束…秘かに信じてたのに…」
えー!!
信じてたの?10年以上前の約束を…。
でもあれは、若気の至りっていうか……。
つい勢いっていうか……。
―キーンコーンカーンコーン
頭の中がごちゃ混ぜ状態の時、チャイムが鳴った。
「…教室、戻らないとな」
ようやく、彼の手が私の右手から離れた。
「あや…、あいつと付き合うのは考えた方がいい。さっきの…告白の返事も…考えておいてほしい…。それじゃあ」
真っ赤な顔をしながら、颯爽と空き教室を出て行ってしまった。
「な、何だったの…今の……」
残された私は呆然とするばかり。

