先生、甘い診察してください




「害虫って……?」


虫が私に寄ってくるって事?



「お前さ、自分じゃ気づいてないけど、かなり人気あるんだぞ?」


人気?誰が?何の事言ってるの?




「俺のクラスの奴ら、みんな言ってんだよ。あやの事、可愛いって……」

「えっ!」


そんなの、知らない……。



「全く、俺の気も知らないで…。こっちはお前が狼に襲われないか気が気じゃないのに」



よくわからないけど、日向くんって案外過保護なのかな?




でも、よかった。


日向くんとこうして他愛もない話をしてると、気が紛れる。





「あっ……」


靴に履き替えて、校内から出て、門を見た時、思わず足が止まった。



「どうした?」



日向くんが不思議そうな顔で私を覗き込んだ。



「…何で……」



どうして、こんな所に……。




「何で…いるの……」


門の前に人影が。それは明らかに、大橋先生だった。



どうして先生がここに?






「あっ!あやちゃん」


私に気づいた大橋先生が小さく手を振りながらこちらに歩み寄ってきた。




「あれ、あの人…どっかで見た事ある気が……って、あや?」


咄嗟に、日向くんの後ろに隠れた。