先生、甘い診察してください




「んっ…いった……」



元気になった、と思ったらズキンと走る痛み。


咄嗟におしぼりを左の頬に当てた。





「…あの、櫻田先生……」



かなり心配だけど、櫻田先生に治してもらうしか……。




「俺は治さないからね」

「え……」


思ってもない、厳しい言葉。


どうして?




「あ、いや…治療したくないとかじゃなくて、あやちゃんが嫌でしょ?」



意味がわからず首を傾げた。



「俺に治療されるの、嫌でしょ?」

「……!」



一応、図星だから、何も言えなかった。




「あやちゃんの中では、智也以外に治してもらうなんて、考えられないんだよね。違う?」

「……その通りです」



案外、この人は侮れないかもしれない。




「だったら、早く智也に治してもらいな。ね?」

「…はい……」



返事はしたけど、大橋先生会う決心はまだ……つきそうにない。




「よかったら、これから一緒に医院に行く?」

「えっ!いえいえ!!今日は、ちょっと……」


絶対無理無理!!全然心の準備ができてないもん!!




「そうかそうか。わかった。でも、放置しても全然良い事ないから、早めに治してね」

「はーい……」