三篠の屋敷は胡蝶ノ国へ救援へ行くための準備で慌ただしかった。




「…胡蝶ノ国には俺と瑠璃葉、氷雨で行く。
ここの屋敷は桔梗が中心になって残った者で護れ。


民を誰一人死なすな!」


「「はい!」」


「「「「了解」」」」




瑠璃葉、氷雨が最初に返事をし、その後に桔梗、紅葉、龍夢、鬼灯が了承した。
六臣に適確な指示を出す三篠はいつもの小雛に優しい三篠ではなく、混妖をまとめる王の姿だった。




(…やった。久しぶりに三篠様と共に戦える…!)




三篠と一緒に胡蝶ノ国に行くことになった氷雨は、緩む頬を押さえながら嬉しさを噛みしめていた。




そんな時。




「…み、三篠……!」




大広間に息を切らしてやって来たのは、小雛だった。
小雛に呼ばれ、三篠はすぐに小雛の元に近付いた。




「……」




それを見た氷雨はさっきの嬉しそうな表情とは打って変わり、目つきを鋭くした。




「…小雛。俺はこれから胡蝶ノ国に行ってくる。
屋敷(ここ)のことは桔梗に任せてある。お前は紅葉に護らせる」


「命に代えてもお護り致します故ご安心ください、小雛様」




三篠に言われ駆け寄ってきた紅葉は胸に手を当て、自信満々に答えた。




そんな紅葉を見た小雛は「ありがとう」と微笑んだが、すぐに表情を鋭くして三篠を見た。




「…三篠、あなたの代わりに私が胡蝶ノ国に行く」


「「「「「「「…っ!?」」」」」」」




小雛の言葉に三篠はもちろん、六臣全員目を見開いた。
そしてすぐに反対したのは三篠だった。




「お前、自分が言ったことがどういうことか分かっているのか!?
胡蝶ノ国は今戦いの最中だ。
そこに鵺姫であるお前を、戦えないお前を行かせるわけないだろう…!」




三篠の言ったことは正論だった。
戦えない人を戦場に送るなど無情の者がすること、情に溢れた三篠には許す筈がない。




反対した三篠に乗るように六臣も反対する。