子犬系男子の溺愛っぷり。

ーーーチュっ…。


…………え?

あれ、今あたしキスされてる…?


気づいた時には唇は既に塞がれていて。

裕貴君の温かい唇があたしのそれを優しく包んでいた。


ゆっくり離れていく顔。

そして間近で交わる視線。


…間違いない。

あたし今、キスされた…っ


わ、わわわわわっ…


「えへへ。怜先輩がそんな顔してるから離れたくなくなってキスしちゃった」


と何とも悪びれた様子もなく、ごくごく当たり前の事のように。

ペロっと舌を出して子供のような顔をする裕貴君。


……っ、


そ、そんな顔って。

あたしが"もう少し一緒にいたい"って思ってたのが伝わったの……?


だから裕貴君は一度戻って来てくれて、それでキスしてくれたの?


「…っ」


ば、バカ。

こんなんされたら益々離れたくなくなっちゃうじゃんか…。


「別れ際って寂しいよね。別々の家に帰るのも寂しい。ずっと怜先輩と一緒にいたい」


って嬉しい言葉をくれた。

それに対して『あたしもだよ』って言ったら、『すげー幸せ。』って満面の笑みで言ってくれた。


…あたし、幸せ者だなぁ。

裕貴君にこんなに想ってもらえて。


そんなあたし達の間を冷たい風は通り抜けていく。

さ、寒い…っ


「これで寒くないよ」

「……うん」


背中に回る裕貴君の腕は温かくて、それにつられたのかあたしも裕貴君の背中にゆっくりと腕を回した。