子犬系男子の溺愛っぷり。

はい、と手渡された封筒の中には初めてバイトをした分の給料が入っていた。

初めての給料。


自分で働いたからこそお金にしっかりと重みを感じる。


「今日までお疲れ様。黒瀬さんがここでバイトしてくれて良かった!またいつでもバイトしにおいで」

「……はい…っ!」


短かったけど、朔真さんには優しくしてもらって他の従業員の人もみんな温かくて…

明日から会えなくなるんだって思うと寂しく感じてしまう…。


働いてた期間は短くてもこんなにいろんな思い出が作れたから溢れてくるものがある。


「ほらほら、泣かない。…これから彼氏と一緒に帰るんだろ?」

「……はい」

「そんな顔してちゃ、ダメだよ。会えないわけじゃないんだ。彼氏と一緒に遊びにでもおいで」

「……っ、はい…っ」


朔真さんが最後まで優しくて、あたしは我慢できずに泣いてしまった。

頬に伝わる一筋の涙。


人の温かさがこんなにも嬉しいものなんだって知った。

それはバイトをしてみないと分からなかった事で。


……本当にいい人達だった。


「ほら彼氏呼んでおいでよ」

「………は、い!」


泣いたのがバレないように休憩室に入る前に涙を拭いて、自分に喝を入れるように頬をパチンと軽く叩いた。


コンコン…とノックをしてから休憩室に入ると、裕貴君と目が合った。


………ドキっ、


泣いたの…バレてないよね?

うん、大丈夫。大丈夫。


「…バイト、終わったから…帰ろ」


声、小さかったかな…。

裕貴君にちゃんと聞こえた…?


目を逸らしながら話したから今裕貴君がどんな顔をしてるのか分からない。


「……怜先輩、泣いた…?」