「先輩の返事っていつも、"まぁ"とか"何"とか短いもんね!」

「…そうね」


夏目君は周りが気にならないのか、向けられている視線をものともせず話しかけてくる。

少しは気にすればいいのに、と思いながらも相槌だけはちゃんと返す。

さすがのあたしもここまでくると、この視線に慣れてきたけど最初の頃はうっとおしくてたまらなかった。


夏目君とあたしが出会ったキッカケ……、

あれは、自販機に並んでいた時。









―――――…
――――…


目の前に男の子が並んでいて。

制服を見るとネクタイの色が違ったから、1年だとすぐに分かった。


一向に飲み物を買う気配が感じ取れなくて内心イライラしていたけど、

よく見れば右手に持っているお金が、飲み物一本買うにしても少しだけ足りなかった。