ましてや男の子の名前なんだから、緊張しないはずがなく、内心バクバクだ。

それを悟られたくないあたしは、隠すようにポーカーフェイスを装って平然としてみせているだけ。


夏目君の扱いは、思った以上に大変で、体力精神共に使い果たしてしまう。

あたしと違って元気すぎるから尚更。


「次は絶対ですからね!」

「…はいはい」

「それじゃ、はい!約束」


そう言った夏目君は、あたしの目の前に小指を出してきた。

これって……、指切りしろって事?


高校生にもなって指切りなんて…って思ったけど、夏目君がしても全然違和感がなさすぎて逆に納得できた。

自分の小指を、夏目君が突き出している小指に遠慮がちに絡めると、


「指切りげんまん嘘ついたら――…」


と1人で歌い出した。

……しかも、音痴すぎるし。


お世辞にも上手いとは言えず、音程が全く取れていない、その歌は一生忘れる事はないだろう。