眉を下げて、シュン…とした顔になり、今まさに『子犬系男子』になっている。

そんな顔されたらダメ!って強く言えない自分がいて、だけど甘やかしたらダメだと言い聞かせる自分もいて。


心の中での葛藤が続いている。

一度呼ばせてしまえば、ずっと呼び続けるであろう夏目君は、あたしが断れないだろうと思って提案したのかな。


そういう彼は、確信犯で。


「…いいよ」


やっぱりダメなんて言えなくて。

夏目君の提案に、乗った。


これが罠だと分かっていても、

きっと断る人はいないだろう。


本来なら断るのだけれど、これだけ懐かれてしまえば、突き放す事なんてあたしには出来なかった。


「本当ですか?やったー!」


嬉しがる夏目君を見ると尚更。

これで、良かったのかな。


正しいかなんて誰にも分からないけど、子犬のように懐いている夏目君を、傷つけるのは出来ない。