子犬系男子の溺愛っぷり。

ワントーン低い声。

いつもの声じゃない。

真剣な顔つきと共に、真剣な声。


"何か"大事な話だという事だけは、あたしにだって分かる。


「…分かった」


だから、こう返事するしかなかった。


ここで断ったりしたら、あたしと斎藤の間に埋まらない溝が出来てしまいそうな気がしたから…。


「今度、話すから」


その言葉と共にあたしに背を向けて、友達の方へと行った斎藤。


まじまじと見た事ないから分からないけど、今の斎藤の背中が何か弱々しく見えたのはあたしの気のせいーーー…?


「斎藤、決めたんだね」

「え…何が?」

「そこは本人から聞かなくちゃね」


詩織、何か知ってる感じ。

だけどあたしもこれは本人に聞かないといけないって分かるから。


気になるけど、今だけは頭の隅にやって文化祭に集中しないと…。


「ほら、配置につこ?もうお客さん来ちゃうよ!」

「あ、うん」


廊下にはたくさんの人がいて、歩くスペースがないんじゃないかってくらい人で埋め尽くされていた。


他校の制服や私服の人達だからここの生徒って訳じゃない。

…こんなにお客さん来てるんだ。