子犬系男子の溺愛っぷり。

あたし、香水とかあまり好きじゃないから付けた事ないもんなぁ…

女子力を夏目君に負けてしまうとは、ちょっと複雑な気分。

女のあたしよりも女子の気持ちが分かってしまうんじゃないかって。


「先輩……、」


消え入りそうなくらい小さな声。


すぐ目の前にいる夏目君は、顔を真っ赤にしていた。

おまけに、耳までも。

髪の隙間から覗く耳が、微かに染まっていて髪をクシャっとしている姿が可愛らしかった。


「…顔、赤い」

「…!せ、先輩。俺用事思い出したのでまた来ますね…っ!」


いきなり早口になり焦った様子で、足早に教室を立ち去った。

その時間、わずか数秒。


立ち尽くすあたしは、立ち去る夏目君の後ろ姿を見つめているだけだった。