子犬系男子の溺愛っぷり。

あたし夏目君を見つめてた…?

うわー、やってしまった。


考え事してたから全然気づかなかった。


「そんな目で見つめられると抱きしめたくなるんですよ!」


そんな目…?

あたしどんな目してたんだ。


「俺、怜先輩に弱いから…そんな見つめられると無意識に身体動いちゃうんで、次は気をつけてくださいね!」

「……ごめん」


って、何で謝ってるんだろう?

あたしが悪いわけでもないのに、夏目君の説得に押し負けたような。


とにかくよく分からない。

あたしが無意識のうちに見つめてたのがいけなかったのかな?


それなら次から気をつけるか。


「あー、怜先輩に触れたい。抱きしめたい、キスしたい。…もう俺、限界に近いんですけど」

「……っ!」

「怜先輩が足りない。今すぐにでも触れたい」


ストレートすぎて、照れる。


そんな顔でそんな事言われちゃったら、"いいよ"って言ってしまいたくなる。


夏目君に触れてほしい、って思うあたしはダメなのだろうか。


夏目君のその腕で抱きしめてほしい。

夏目君の温もりがほしい。

近くで声を呼んでほしい。


あたしの気持ちは気づかないうちに大きく膨らんでいて、自分が思っているよりも好きになっていたみたい。