子犬系男子の溺愛っぷり。

落ち着け、落ち着け…。

ここであたしが反論しちゃうからいけないんだよ。

大人な対応で夏目君に接しなきゃ。


「怜先輩、昨日はもっと顔赤かったですよね!可愛かったな〜」

「…っ、何の事?」

「何ってもちろんキスした時の顔に決まってるじゃないですか!」

「き、キス…って、おでこじゃん」


別にあたしが焦る必要ない。

昨日の事は、もう忘れよう。

そうでもしないとドキドキが収まらないというか、もうダメだ…。


そう思うのに昨日の夏目君の顔が頭から離れなくて困る。


「おでこでもキスはキスですよ?だけど本当はここにしたかったな」


そう言って、あたしの唇に夏目君の指が微かに触れた。

………っ


たったそれだけの事なのに、全神経が唇に集中している。

ドキドキが加速する。


「怜先輩の唇、柔らかそう。…キスしたら気持ちいいんだろうな」

「な…っ!」


夏目君の声が、言葉が、ストレートに頭に響いて何度も何度もリピートされる。


ほんの少し触れただけなのに夏目君の指が熱くて、その熱が伝わるかのように唇の体温が上がってゆく。