子犬系男子の溺愛っぷり。

可愛い後輩にならドキドキだってしないし、緊張だってしないはず。

顔を真っ赤にする事もなければ、こんな事も考えたりしないだろう。


……分からない。

あたしには、分からない。


そんな風に分からない"フリ"をしていたのかもしれない。

気づかない"フリ"をしてたのかもしれない。


今、気づいてしまえば、

きっと後戻りは出来ないから。


「怜先輩、」


その声を聞いたら。

その言葉を聞いたら。

もう、後戻りは出来なくなる。


「いい加減俺の事好きになれば?」


……カチっと何かが音を立てた。


パズルのピースが埋まったように、あたしの中で"何か"が変わった。


その音を聞いて、"ああ、後戻りは出来ない"とすぐに理解した。


分からなくて、分からなくて。

それがもどかしくて…。


気持ちから目を逸らしてた。