怜先輩の唇が、柔らかすぎて。

唇から伝わる熱が、熱くて。

漏れる吐息が、甘すぎて。


身勝手だけど、好きな人とのキスはこんなにも気持ちがいいなんて初めて知った。


「……っ」


もう、後戻りは出来ない。


怜先輩にキスしてしまって、今の『先輩と後輩』の関係を続けていくなんて無理だ。


俺は、怜先輩がほしい。


俺の彼女にしたい。

後輩として見られたくない。


「怜先輩、好きです。
絶対に振り向かせてみせます。

だから、覚悟しててください」


強く、決意したその言葉。


怜先輩には聞こえるはずもなくて、保健室に響き渡っただけ――…



* 裕貴side終わり *