タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

得意満面なその様子から見て、本当に全く気が付いてないみたい。


気付いてない、よね? ないよね?


うん。ないわこりゃ。


・・・・・・・・・・・・。


良かったー! 助かったーー!


あたしは一息ついて胸をなで下ろす。ハァッと肩から力が抜けた。


あぁもう、生きた心地がしなかったよ。


この見かけや、男爵夫人の偽名に完全に騙されてるのねぇ。


どこまでも単純な男だなぁ。貴族の男って、みんなこんなもんかね?


そう考えながらつくづくと、バカだんなの顔を眺めた。


すっかりもう勝った気でいる。軍人や貴族じゃなくて、女と当ったのが相当嬉しいんだろう。


とにかく臆病な男だから、ケガを恐れて今まで剣に触りもしなかったくらいだもん。


よく参加したもんだわね。きっと奥様に背中どつかれたんだろうなぁ。


あたしの人生初の決闘の相手が、諸悪のバカだんなかぁ。


これも因縁ね。

この、ろくに剣も扱えない弱虫な、しかもこの前あたしがこの手で・・・


・・・・・・・・・


この手で、殴り倒して・・・

思い切りブチ倒して、完勝した相手・・・


・・・・・・

・・・・・・

よ・・・・・・


よおっしゃあああーーーーー!!!


勝てるぅぅぅーーーーーーー!!!


激烈に戦闘意欲が湧いてきたあーー!!