タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

・・・やばい!!


とっさに両手で短剣を持ち上げ、顔の前にかざして隠れた。


・・・って、全然隠れてないってー!!


やばいやばい! 間違いなくバレる!


まさかの速攻ご対面! あたしたち、どこまで悪縁が深いの!?

もう濃すぎでしょ!?


あたしはワナにかかったウサギの心境。ダラダラと背中にもオデコにも汗が伝う。


あぁ、終わった・・・。

頑張ってみたけど、やっぱりだめだった。


あたしの人生はここで終わりを告げる・・・


「さあ、男爵夫人!」


・・・・・・。


「さあさあ、シーロッタ・ヌゥーキー男爵夫人! さあ!!」


・・・・・・・・・・・・?


あたしは、そっと片目を開けた。


バカだんなは周囲の観客を十分に意識しながら、カッコつけて声を張り上げてる。


おい、ひょっとして、こいつ・・・


全然あたしのこと、気付いて・・・ない・・・?