タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「それでは皆様、武器をご用意いたしました」


従者が、両腕に様々な種類の剣を抱えて近寄ってきた。


・・・うわ、剣だよ本物だよ!


バカだんなの屋敷で何度か見たことはあるけど、当然あたしは触った事すらない。


その銀色に鈍く光る刃を見て、さすがにちょっと気後れする。


ほ、ほんとにこれから、あたし決闘することになるのか・・・?


とりあえず、一般的な長剣を持ってみる。


持った途端に重さに耐えきれず、ガンッと剣の切っ先を床に落としてしまった。


なにこれ! 両手で持ち上げるのが精いっぱいだよ!


ムリムリ! こんなん振り回すなんて絶対にムリ!


へっぴり腰で長剣を引きずってるあたしを見かねて、従者が短剣を渡してくれた。


長さ50~60センチくらいの刃の、柄に飾りのついた剣。


さっきのに比べれば断然軽い。うん、これならなんとか。


なんとか・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


なんとか、どうすんの? 戦うの?

いったいどうやってよ?


参加者の、剣を扱う手慣れた動作を見ながら、あたしはようやく現実を直視する。


そしてゴクリとツバを飲み込んだ。

どうしたって勝てっこないよ~!