タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

その王様の後ろに、若い男性と女性が歩いている。


あれが婚約したっていう、王子様と隣国のお姫様かな?


王様に比べるとボリュームは落ちるけど、豪華な総刺繍の衣装。


左右の貴族たちを眺めつつ、フワフワした足取りで歩いている、あれが・・・


・・・・・・。


あれが王子? 我が国の跡取り? あれが?


・・・・・・あれが?


いやさ、しつこいようだけど。


あれがあぁぁーーー? 


あたしは、正直言ってちょっと気抜けしてしまった。


ずいっぶん、軽そうなタイプだわねー!


ううん、性格が軽そうっていうんじゃないの。そうじゃなくて。


軽そうなのは、おつむ。


とことん、頭が軽そうに見える。


片手は姫の手を取り、もう片方の手で、貴族たちにヒラヒラと手を振って。


笑顔なのはいいのよ。そりゃまあ、嬉しいんでしょうから。


でもその顔が笑顔というより、あえて言うなら、ふぬけ顔。


年相応の威厳も知性も、なーんも感じられない。