タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「白騎士としての役目を果たすことだけが、ずっとオレの目標だったんだ」


「・・・・・・・・・・・・」


「人間の嫁を手に入れて本当に安心したよ。これでやっと使命を果たせる」


(・・・手に、入れた・・・?)


「人間の嫁ってやつは、白騎士に必要不可欠だしな。なんせ伝説でそう決められてるんだから」


あたしの火照った頬から、徐々に赤みが引いていく。


軽やかだった手足が、鉛のように重くなった。


心臓が、嫌な音を立ててジクジクと痛みだす。


あたしは甘い香りの夢の世界から、一気に現実に引き戻され、事実を見せつけられた。


ブランが・・・・・・。


ブランが今まであたしに優しかったのは


こんなにも大切にしてくれたのは・・・


ずっと待ちわびて、やっと『手に入れた』アイテムだから。


伝説の白騎士にはお決まりの、無かったら恰好がつかない『道具』だから。


彼にとっては、あたし自身なんて別に大事でもなんでもなかったんだ。


ブランにとって大事だったのは、白騎士としての使命だけ。


あたしは使命の一部分。ブランにとっては・・・


ただの、部品のひとつにすぎないんだ・・・。