タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

――シャアアアァァッ!

大蛇が、まるで宙を飛ぶように凄まじいスピードで飛びかかってきた。


「ひっ!?」と息を飲んだ、わずかほんの一瞬。


もうあたしの目の前には牙をもつ大口が迫っていた。


あぁ、ダメだ! 逃げられない!


目を閉じる余裕すらなく、あたしは大蛇の牙が近づくのを見ていた。


――ボンッ!


破裂音が鳴り響き、白い煙が霧散する。


「オレの嫁に何をする気だ!!」


白い大鳥に変化したブランが怒鳴り声をあげ、大蛇に襲い掛かる。


その巨大な鋭い鷲爪が、大蛇の太い胴体にギリリと深く食い込んだ。


「オレのミアンを襲うなんざ、お前、死ぬ覚悟はできているんだろうな!?」


「ブラン!」


「オレに任せて逃げろ! ミアン!」


波打つように暴れる大蛇の体を、ブランは羽ばたきながら移動して入り口まで運ぼうとする。


両の羽から巻き起こる風の強烈な勢いに、あたしの体がザザッと押し戻された。


うわっ! と、飛ばされる!


大暴れする蛇の巨体に、ブランも何度も地面に体を叩きつけられる。


それでもブランは、ジリジリと入り口まで大蛇の体を引きずっていった。


頑張ってブラン! もう少し! あともうちょっとよ!


大蛇のかま首がグイッと持ち上がる。


――ビシュッ!

開いた口から、透明な液体のようなものが勢いよく噴射され、ブランの顔に命中した。


「ギャンッ!?」


ブランの口から悲鳴が上がり、ボンッという破裂音と共に変化が解かれてしまう。

タヌキの姿に戻ったブランは、顔を激しく左右に振りながら地面を転げまわった。



まさか毒!? 


そんなデカい図体して、しかも毒まで持ってるなんて!


どこまでズルい生き物なのよあんたは! この恥知らず!