タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

その大きな長い影は、あたしの頭上を素早く一気に飛び越え、鳥の群れに突っ込んでいく。


鳥たちが大きな巣穴中を逃げ惑う様子を、あたしは茫然と見ていた。


な、なんだったの!? 今の、鳥? いや、鳥の影じゃなかった!


見上げた先の壁際、階段の段差のようになっている部分で、それは大暴れしていた。


あれはなに? 大きくて、グネグネと長い、濃い茶色の網目模様の・・・


・・・・・・!? ヘビぃ!?


両目と口をアングリ開いて、あたしはそれを凝視した。


自分の目が信じられない。夢でも見ているのかと思うほど、その光景は異様だった。


・・・大蛇。あれは、大蛇だ。


胴体の太さは、あたしの胴回りほどに太い。


しかも、長い! 頭からシッポまでいったい何メートルあるんだろう。


どうみても10メートル近くある。あまりにデカすぎて、最初はヘビだと認識できなかったほど。


大蛇は大きな口を開け、鳥たちに襲い掛かっている。


かま首をもたげ、襲い掛かる時のスピードたるや、もう・・・。


とても目視なんてできない! ヘビってこんなに敏捷な生き物なの!?


周囲は凄まじい羽ばたきの音と、鳥たちが発する大音量の鳴き声が充満していた。


あたしは両耳を押さえ、ただ状況を見ていることしかできない。


鳥たちは懸命に宙を飛んで逃げ惑っている。


でも、なにせ相手は体長10メートルのデカブツだ。


高さに限度のある巣穴の中では、鳥たちが圧倒的に不利だった。


なんでみんな、巣穴の外に逃げ出さないの?


疑問に思うあたしの目に、大蛇が狙い定めているものが映った。


・・・・・・鳥の卵だ!

こいつ、卵を狙っているんだ!