タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

でもバカだんなに襲われそうになった時、冗談じゃないって思った。


こんなの誰が受け入れるもんかって、バカだんなを殴り飛ばして、必死で抗った。


当然だと思っていた世界を飛び出し、走り続けたんだ。


だからあたしは今、ここにいる。


バカだんなの言いなりになる運命じゃない道が、目の前に開けている。


タヌキたちだってそうだ。


人間に滅ぼされる運命に抗い、受け入れずに戦っている。


全力で、一生懸命に、自分たちの道をつくろうと頑張っているんだ。


だから、運命なんかじゃない。当然でもない。


バカだんなの好き勝手にされるのが、あたしの運命で当然だなんて。


人間に狩られ、絶滅するのがタヌキの運命で、それが当然だなんて。


「そんなこと言わせない。誰にも、絶対に言わせないからね」

「ミアン・・・」


ブランは、しばらく沈黙した後・・・ゆっくりと戻ってきた。


「鳥の代表よ、ミアンがいま言った言葉は、お前には聞き取れないだろう」


そしてあたしの足元に立つ。


「だが伝わらなかったか? 世界の輪の中で、戦い生きようとするものの意思を」


鳥たちは黙っていた。

ピタリと止まって身動きもせず、さえずりもしない。


でもあたしとブラン、そして鳥たちの間に、拒絶とは違う空気が流れ始めていた。


鳥の代表が、小首を傾げて何かを言おうとした瞬間・・・


――シャアアアァァッ!!


空気を切り裂くような音が入り口の方向から聞こえた。


そして、とても長く大きな影が、あたしたちに向かって一直線に襲い掛かってきた。